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現在、日本中のあちこちで、田園地域、里地里山の保全だけではなくて、森林保全、里海の保全が言われておりますが、それに大きく貢献しているのが生き物マークです。これは、生物多様性をちゃんと守り育てている農林水産業をアピールするためのもので、農林水産省を中心に全国で取り組んでいます。
例えば、林業と生き物については、生産された木材が森林の育成、森林の保守・多様性、文化を尊重した木材なのか。それとも、森林破壊を行うような、特に外国から入ってくるような木材なのか差別化します。差別化の例として、一番よく知られているのは、農業と生き物マークです。
いろいろなところで作られているお米の中には、農薬の使い方一つとってみてもそうですし、つくり方そのものが生物多様性を非常に尊重したつくり方をしているものがあります。そのためには手間がかかります。この手間がかかっているということを、消費者の皆様に理解していただかないと、やはり少し高くても買おうかという気にならないわけです。コウノトリ米などは、手に入らないなんていうようなことも一時的に起きたりするくらい、消費者の関心が、この生き物マークによって促進されるという点があります。
水産業もそうです。沿岸地域で本当に魚が獲れなくなってきています。この原因の一つには、持続可能な水産業についてあまり考えてこなかったことがあります。これまで水産業はあまりにも競争し過ぎると言いますか、いい例は、魚礁に行くときに1秒でも早く魚礁に着いて1匹でも多くの魚を釣りたいと思い、エンジン全開でいきました。これは地球温暖化の問題から見ても問題があります。もう少し穏やかにポンポンポンポンというぐらいの感じで魚場まで行っていただくと、重油の消費量は格段に減ります。また、できれば古くなっている漁船を改良して、燃料代が3分の1、4分の1になるような船に変えてもらいたいということで水産庁は援助して漁船を改良しようとしています。また、魚を集める集魚灯は、相当な重油を使っているわけですが、これをLEDに変えようと援助を始めています。このように、水産業も環境に優しく、温暖化を少しでも食いとめ、なおかつ生物多様性を尊重するというふうにもってこうとしています。私たちの子どもたちにもすばらしい魚を生産資源として残すためには、生物多様性を尊重している水産業であるということを、今ラベルで示しておこうということです。
生物多様性を守ろうとするためにはどうしても価格が高くなるのですが、それでも買おうという気持ちになっていただくために、いろいろなマークを作って工夫をはじめております。これがかなり成功していますが、これだけでは、食料自給率を50パーセントにもっていけませんので、もっとやっぱり工夫が必要だろうというふうに思います。私はこういうことをやっていくときに、非常に重要なことはシンボル主義に陥らないことだと思っています。シンボルは重要です。コウノトリというシンボルがあったからこそ、豊岡での農業が全体として生物多様性を守るすばらしい農業に変わりつつあるわけですけども、シンボル主義だけでは、コウノトリさえいればいいじゃないかという話になっちゃいますね。
その典型は鯨です。反捕鯨団体の活動がシンボル主義だと思っていただければと思います。だから水産業とか、地球全体の環境のことまで考えて物を言っているか。鯨だけをというと、非常にこう感情的にパッとすぐ入りますが、生物多様性なんてわけのわからない難しいことを考えなくても済ませていますが、これは一種の犯罪行為だと思っています。絶対にシンボル主義に陥らない、そういう活動が今必要だというふうに思います。コウノトリはシンボル主義ではありません。これはもちろん米が中心になります。農薬と化学肥料を2分の1以下にし、これと生き物をはぐくむ栽培技術法導入します。冬期湛水は、手間はかかるけどもそういうこともやる。そしてお米だけでなく、野菜、ごみ等も環境に配慮した施肥を適正に行っていく、ほかの作物についても全くそうです。そしてそのために必要なことは着実にやっていくという、こういう全体を考えた、一つのシンボルだけをスポットあてた活動じゃない活動が極めて重要です。
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