トップページ > ごはんを食べよう国民運動推進協議会活動紹介 > 平成16年度 活動実績 > 「みんなで学ぼう『田んぼの学校』」((社)農村環境整備センター)
みんなで学ぼう「田んぼの学校」
(社)農村環境整備センター 研究第一部 研究員 加納 麻紀子

 農村環境整備センターでは、水田や水路、ため池、里山などを遊びと学びの場として活用する環境教育「田んぼの学校」の取り組みを応援しています。

「田んぼの学校」とは・・・?
   古くから農業の営みの中で形づくられてきた水田や水路、ため池、里山などは、今では農村の自然環境の重要な要素になっています。
 「田んぼの学校」は、これらを遊びと学びの場として活用することにより、環境に対する豊かな感性と見識を持つ人を育てること、また、これを農業や農村への理解の深まり、都市と農村の共生、自然と人間の共生につなげることを目的としています。
 農村環境整備センターに設置している、「田んぼの学校」支援センターでは、このような「田んぼの学校」活動に取り組む方々をゆるやかなネットワークでつなぎ、活動の推進を図っています。現在「田んぼの学校」支援センターには、289件のグループと567名の個人が登録されています。

「田んぼの学校」活動と“ごはん”
   「田んぼの学校」活動は、全国各地で自由に取り組まれるもので、農家や地域の有志、学校、NPOなどさまざまなグループが、個別の目的のもと、フィールドやグループの特性を活かした活動を展開しています(次頁参照)。
 活動内容としては、米づくりをベースに、自然観察や生物調査、環境保全活動、生活・工芸体験などを組み合わせて実施しているグループが多く見られます。もちろん、栽培した米や野菜は、加工して食べるところまで体験します。

 農村地域の自然の中で思い切り身体を動かし、きちんとお腹を空かせて、自分が育てた作物を食べるという経験は、今、子どもたちにとっても大人にとっても、とても貴重な経験です。
また、「田んぼの学校」での体験を通じて、農家の方はもちろん、農作物のつくられている過程や環境にも親しむことができるため、今、食べているごはんとそれを支えている世界(人、自然、社会、文化)をつなぐものであるともいえると思います。

「田んぼの学校」の取り組み 〜グループ、テーマ、活動内容〜
 「田んぼの学校」は、田んぼや水路、ため池、里山などを遊びと学びの場として活用する環境教育のコンセプトであり、どなたでもどんなフィールドでも自由に取り組むことができます。支援センターでは、地域の状況を考慮しながら、どんなねらいをもって、誰が誰とどんな活動を行うのか、無理なく楽しみながら実施できるのはどんなスタイルか、協力が得られそうな組織や機関はどこか、というところから取り組みについて検討することを呼びかけています。
 「田んぼの学校」の「田んぼ」は、水田や水路、ため池、里山などを一体としてとらえています。これらを環境教育のフィールドとして活用する場合、水田や水路、ため池などを単体として考えるのではなく、農村環境を一体として、また、これらを多面的にとらえることがポイントとなります。こういった視点で活動内容を考え、さまざまな立場の方、さまざまな特技を持つ方の協力を得ることで、「田んぼの学校」はより深まり、より魅力的なものになっていきます。
現在「田んぼの学校」支援センターに登録されている各地の「田んぼの学校」の主な目的、活動形態、活動内容は、おおむね以下のように分類することができます。

目的
・子どもたちの健全育成
・地域の環境保全
・農業や農村への理解の促進
・地域の自然や風景、文化への理解、これらの継承
・交流の場づくり  ・・・等

活動形態
ア.学校活動型
 学校の授業の一環として取り組むもの。学校側が企画・立案・運営するパターンと、学校とは別の組織が主催し、学校単位で参加するパターンがある。学校側がイニシアティブをとる場合でも、活動フィールドの確保はもちろん、田んぼ仕事や地域の生態系などについての指導や説明は、農家や専門家の協力(ゲストティーチャー、サポートスタッフ)を得て実施されており、地域との連携は不可欠。

イ.地域内交流型
地域の親子などが自由に参加できる活動。主催者側も地域の有志であることが多い。子供会、老人会、公民館活動などもこれに含む。同じ地域の農家と非農家の交流も促進されている。

ウ.サークル活動型
会員制、塾生制などで決まったメンバーが参加するもの。主催者が参加者を迎えるというスタイルだけではなく、グループ自体の活動としてメンバーのみで取り組んでいる場合もある。アの学校活動型と同じく、指導者として農家や専門家の活動を得て実施されている場合が多い。

エ.都市農村交流型
都市側の博物館や生活協同組合などが間に入って参加者を募るケースと、農村の活動グループが都市に向けて積極的に情報発信し、独自に参加者を募るケースが見られる。後者の場合はPR力が非常に重要。




活動内容
ア.農業を体験する
・ イベントタイプ
 田植え、稲刈り、餅つきなどをイベント的に実施するもの。農村に足を運び、田んぼに足を入れる機会を提供するプログラムとしてもっともスタンダード。

・ プロセスタイプ
 田おこし、代かき、草取りや脱穀、加工等のプロセスまで体験し、米づくりの作業そのものを深めていくもの。無農薬農業や有機農業への取り組みとかかわっているものが多い。実施回数が多くなるので、交流が密になる。

イ.自然とのふれあい
・ 観察・学習・あそびタイプ
 観察会や生きもの調べなどの理科学習的なもの、ネイチャーゲームやクラフト等の遊び、また、ため池さらえにあわせた魚捕りなど。
・ 保全活動タイプ
 地域の自然環境を把握するための調査や、生きものの救出、棚田の復元、里山の手入れなど。活動は、継続性が高い。専門家や当事者だけでなく、地域の人や子どもたち、都市住民が一緒になって行うことも多い。

ウ.地域を学ぶ
・ くらし・伝統文化体験タイプ
 郷土料理など地域のくらしや、紙漉、ワラ綯い、炭焼き、地域に伝わる漁法などの伝統技能を体験するもの。特に地元の年配の方が指導者として活躍。農家でのくらし体験は宿泊型プログラムが多い。
・ 地域学習タイプ
 集落点検やワークショップなど。農業や社会などの地域状況を調べるもの。地域づくりの活動として、また、学校の学習プログラムの中で取り組まれることが多い。

エ.イベント
 おまつり、シンポジウム、講演会、コンサート、スライドショーなど。ほかの活動と組み合わせて行われる。多くの人を集めて行うため、活動を盛り上げる効果、地域の人たちへの広報の意味合いが強い。

<事例1>NPO法人古瀬の自然と文化を守る会
場所
  茨城県谷和原村
グループの構成
  集落の有志(主として兼業農家)※もとはPTA活動や青年会活動などの仲間が中心
連携団体
  葛飾区郷土と天文の博物館(参加者は博物館で募集 約100名)
活動の経緯
  平成5年、地域の学校と連携して田植えと稲刈りの体験活動を始めたところ、村内にある新興住宅地との交流、地区内の環境整備などに活動が発展。平成11年から葛飾区「郷土と天文の博物館」との交流がスタート。
年間の活動プログラム
  ※☆は葛飾での活動(会のメンバーが出前講座を行う)
5月
田植えと水路の魚の観察、集落内の散策
 
5月
いろいろな田んぼづくり☆
 
6月
田の草取り、田んぼの雑草や畦の草などの観察、魚捕り、ザリガニ釣りなど
 
7月
キャンプ、昼と夜の田んぼの生きものの観察など
 
9月
稲刈り、燈籠流し
 
9月
稲刈り☆
 
11月
芋掘り
 
12月
収穫祭☆

 葛飾からの参加者はリピーターが多く、親の中には、2年目からはサポーターとしてスタッフ側にまわって活躍する人も出てきている。サポーターは、この活動とは別プログラムで、野菜作りなども行っている。

左が谷和原村の田んぼ、右が葛飾の田んぼ(公園内)。谷和原村では、生きものなどを含め農村環境全体をプログラム化し、葛飾では、稲の成長の観察などに焦点を絞る。それぞれのフィールドの特徴をうまく使い分けている。
基本的にはお弁当持参で参加することになっているが、活動の際は毎回このように餅つきが行われ、おいしいお餅をいただける。

活動とあわせて、農家の方がトマトなどを販売。また、婦人部がおこわや漬物などを作って売っている。会員が完全無農薬でつくっているおコメも販売しており、1年間の購入予定を申し込むと、低温倉庫に確保してもらえる。
<お米を購入された方の感想>
※HP書き込みより

「お米ってこんなにおいしかったんだと、思いました。他の玄米とちがいました。薬の使われていない心のこもった食べ物は本当にエネルギーが高く、心とからだの満足度は、言葉では説明できません。みなさん、この素晴らしい伝統つたえてこそ、「日本人」です。来月は、このお米のエネルギーで人の変わった(?)私が、古瀬に現れます〜」

<事例2> 邑久町ふるさと農業少年団
場所
  岡山県邑久町
グループの構成
  邑久町内の青年農業者が主体となり、町役場産業振興課、邑久町振興公社、岡山農業改良普及センターの協力を得て運営。対象は邑久町内の小学生(親子)。
活動の経緯
  昭和62年から活動開始。平成11年までは、邑久町の主作物コメ作り体験を中心に取り組んできたが、12年度から野菜作り・紙漉等にも取り組んでいる。
年間の活動プログラム
5月
牛の乳搾り体験と結団式
 
6月
田植え体験
 
7月
田んぼの生き物調べ体験
 
8月
サマーキャンプ
 
9月
ダイコン・ニンジンの種まき
 
10月
稲刈り体験
  12月 脱穀体験、収穫祭
 
2月
ダイコンの収穫と味噌づくり体験

 田んぼの除草にはアヒルを使っている。昨年度から「命をいただく」をテーマにそのアヒルを食べるということにも取り組んでいる。
「この肉が自分の体になったんだという感覚を子どもたちは実感してくれたのではないかと思う。」とはリーダーのコメント。「親にとっても大変有意義な体験でした。“命をいただきます”の講義、感動しました。」という感想も寄せられた。

<活動に参加した子どもの感想文>

「田んぼの学校」支援センターが企画した書籍
   「田んぼの学校」活動は、全国各地で自由に取り組まれるもので、農家や地域の有志、学校、NPOなどさまざまなグループが、個別の目的のもと、フィールドやグループの特性を活かした活動を展開しています(次頁参照)。
 活動内容としては、米づくりをベースに、自然観察や生物調査、環境保全活動、生活・工芸体験などを組み合わせて実施しているグループが多く見られます。もちろん、栽培した米や野菜は、加工して食べるところまで体験します。
「田んぼの学校」入学編  宇根豊著 農文協 1,800円(税込)
「田んぼの学校」あそび編 湊秋作著 農文協 1,800円(税込)
「田んぼの学校」まなび編 湊秋作著 農文協 1,800円(税込)
田んぼのきもち 森雅浩・作/松原裕子・絵 ポプラ社 1,260円(税込)

「田んぼの学校」ホームページ http://www.acres.or.jp/tanbo/


 もどる