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ごはんを食べよう国民運動
食と農の学びシンポジウム(要旨)

と き:平成13年12月6日(木)13:30〜16:15
ところ:ウイルホール(愛知県女性総合センター)
主 催:ごはんを食べよう国民運動推進協議会  
食を考える国民会議      
後 援:農林水産省

参加者 500名

1. 特別講演:中原 ひとみ(女優)
講演テーマ:「命こそ宝〜大腸ガンを克服して」

中原 ひとみ(女優)特別 講演講師、パネルディスカッション・パネリスト:
中原 ひとみ(女優)

東映ニューフェイスの一期生としてデビューし、一躍人気者になる。俳優江原真二郎氏と結婚、一男一女をもうける。代表作に、映画「姉妹」「純愛物語」、テレビ「女と刀」「ただいま11人」「君の名は」、舞台「リア王」などがある。'97年に大腸がんの手術を受けるが、翌年に復帰。最近は、ドラマやコメンテーターでのテレビ出演の他、夫に先立たれた時の妻の心情を描いた朗読劇の公演も行っている。


皆様こんにちは。今日は、私が4年前に大腸ガンを手術したお話をさせていただきま す。少しでも私の体験がこれからの皆様のご健康に役立って下さればと思います。

ちょうど4年前1997年、リア王という舞台をやっておりましたが、ずっと下痢が治ったりまた続いたりということを繰り返しながら3ヶ月舞台をやりました。
最初は舞台が終わったらもう治るだろうと思っていたのに、半年以上経っても治らない。それで、病院で検査を受けましたら、「これはもう内視鏡では取れないぐらいの大きな腫瘍だから手術になりますね」と言われ、今から丁度4年前手術をいたしました。

女優という仕事をしておりますと、とても健康維持といいますか見かけの体重維持に 結構心を砕いていたんですが、大腸癌は食生活と一番関係がある癌らしいので、食生活を改めようと思いました。
私も、洋食の流行ということにとても影響されたひとりかもしれません。和食は大切、お米は大切と思っていながらも、やっぱり子どもが小さい頃の食生活を振り返ってみますと、結構洋食っぽい物が多かったかな、ご飯が少なかったかなという反省が非常にあります。

最近では外国ですら健康食イコール日本食と言われているようになりましたので、日本の人達も自分たちの食文化は本当に世界でも認められるほど健康に良いと見直された人も多いかと思います。西洋の物がいいと言ってた私でもやっぱり食生活を見直そうという気持ちで、病気というものを体験した思いがありますので、なおさらそれが強くなったんではないかと思います。
日本人ですから、美味しいごはんをいただく時は「幸せだなぁ」と思いますし、私は結婚して子どもも二人育てましたが、食生活は一番大切にしました。共働きで夫婦仲良くいくのも、まず基本は食生活で夫に不自由をかけない、不満を持たせないことが一番大切だと思いましたので、食生活には本当に注意してやってきました。ところが自分は元気だと思い込んでいましたから、自分の食生活はおざなりになってしまったようです。

私の免疫学の先生の話によりますと、いろいろな細胞が何十億個と生まれる中にガン細胞も一緒に生まれており、免疫とかがあるためにガン細胞に負けずにガンにならないですんでいるという事らしいです。体の中を血流に乗ってぐるぐる回っているリンパ球という細胞の中に、できたてのガン細胞、すなわち不良少年を絶え間なく見つけてはやっつけて歩いているNK細胞という丁度お巡りさんのような役目の細胞があり、このお巡りさんの目が届いていれば不良少年の時に処分できます。
ガンになる原因はいろいろありますが、食生活はもちろん、ストレスということでも 非常に影響があるらしいのです。そして、楽しいこと、笑うことによってその免疫力が 高まるということも最近分かってきており、やっぱり幸せな毎日を送っていかなければいけない、毎日何度も幸せだなぁと感じることを自分で作るんだと私は思っているのです。
入院したときに、日本食がいいなと強く感じました。少し回復していきますと食事が出ます。まず重湯です。そして二日ばかり経ち慣れてきたところで三分粥です。そして また一日、二日経ってそれで大丈夫と言われた時に五分粥です。重湯・三分粥・五分粥 ・全粥・ごはん、こんな素晴らしい健康食といいますか、薬になるような身体のためになるような食事は他の国にはあるんだろうかと改めて感じたところです。

私は、結構朝食はパンを食べていたのですが、朝粥にしようと決心しました。そして 夜はごはんを、二膳も三膳も食べられませんからともかく美味しいごはんを一膳は食べよう。栄養のバランスを考えていろいろなおかずを出しますと、一善でも少し残ってしまうこともあります。しかし、やっぱりバランスが一番大切だと思い、病院で見習ったおかずの種類、そして「こういう物が健康にとてもいいんだぞ」ということを普段学習していますので、その中から自分の好きな物、食べて美味しいと感じる物をセレクトしています。しかし、毎日これは食べた方がいいぞと思っているのは、ごはんはもちろん 納豆とかお豆腐など日本的な昔から伝わってきている食事です。
やっぱり私達若い頃、外国の物すべてに憧れ、外国の食事がいいんだぞなんていう時 代もありましたけれども、日本の風土に合った物、それが昔から培われて、日本人というものができてきているわけですから、やはり日本の物が一番ではないかというふうに 最近は特に感じるようになりました。
今では、野菜でも何でもいつでも食べられるようになっております。便利で早く、出来合の物を利用するという事も、もちろん働く女性が多くなると大切ですけれども、しかし、季節を感じるもの、旬の物、新鮮な物をいただくということが、やっぱり自分の食生活を守ろうという意味でも大切だと思っています。やっぱり自分の家の味が無くなってしまっては本当に悲しいなと思いますから。いくら働くお母さんでもやっぱり自分の家はこれだけは守ろうねという事をきっちり心に留めておかないと、いろいろな事に振り回されて、よくない方向に行ってしまう様な気がしています。

やっぱり食事というのは身体を作るだけではなく、心まで影響しているのだという事を踏まえながら、食生活に注意していきたいと思います。
私の場合は駄目な方の例でガンになってしまったのですが、ガンになったおかげで反対に今はいろいろな事を勉強して注意しているおかげで、昔より元気かなと思えるようになりました。

どうぞ皆様も自分に合った健康法を見つけて、健康に長生きして下さい。

2. パネルディスカッション
テーマ:「田んぼは日本の命です 〜食と農を学び健全な生活を〜」
パネリスト(50音順)
鈴木 雅子鈴木雅子
(福山市立女子短期大学生活学科教授、医学博士)

ドイツ・ハイデルベルク大学医学部に留学の後、岡山大学医学部専攻生修了。現在、福山市立女子短期大学教授として病態栄養学を担当すると共に、心の健康と食生活などについて研究をすすめ、各地で健康指導も行っている。専門書の他に、現代の食事情を問いかけた「子どもは何を食べればよいか」「その食事ではキレる子になる」などの著書がある。


中野 重人中野 重人
(日本体育大学教授,日本生活科・総合的な学習教育学会会長)

公立中学校教員を7年務めた後、広島大学大学院修士課程修了。宮崎大学講師、助教授を経て、文部省に入省し、教科調査官として小学校社会科・生活科を担当。教科調査官生活科担当専任、視学官、国立教育研究所教科教育研究部長を経て、現職。主な著書に「総合的な学習は学力崩壊か学校再生か」「総合的な学習Q&A」などがある。




中村 靖彦中村 靖彦(農政ジャーナリスト、元NHK解説委員)
東北大学文学部卒業。NHKに入局、本部教育局農事部、農林水産産業部担当部長、広島放送局放送部長を経て、解説委員となる。現在、明治大学農学部客員教授、女子栄養大学客員教授、農政ジャーナリストの会会長を務める。主な著書に「コメ解放・どう変わる日本農業」「ニッポン食卓新事情」「おいしいコメの本」などがある。


村橋 暁村橋 暁(愛知県一宮市立西成東小学校校長)
愛知教育大学卒業。一宮市立北方小学校教諭として赴任後、いくつかの学校に勤務。西成東小学校教務主任の時に、子供たちと米づくりをはじめとする農作業体験や自然観察活動に取り組む。西成東小学校は、全校あげての農作業体験活動を10年程前からおこなっている。平成13年4月に同校校長となり、再び「食農」体験活動に取り組む。



松田 輝雄コーディネーター
松田 輝雄(元NHKアナウンサー)
早稲田大学卒業。NHKに入局、アナウンス室勤務、エグゼクティブアナウンサーとなる。「日本列島・朝いちばん」「趣味の園芸」などのキャスターを務め、オオタカの誕生から巣立ち迄を生中継した「おはよう日本」は話題を集めた。現在、フリーとして「きょうの健康」「私のガーデニング」で活躍中。日本野鳥の会・評議員、樹木医でもある。




松田:現在では、ごはんそのものがお米という言葉ではなくて、食事をするという言葉に置き換えられています。 40年前の1960年に比べると、米・ごはんの量が半分になって、エネルギーとしては四分の一になりました。そして、代わりに油・畜産物つまり肉とか油の製品・乳製 品が非常に増えてきました。もちろん豊かになり、様々なものをたくさん食べることができる、欧米型でもいいのではないかという議論もあります。しかし、同時に一つ忘れてならないのは、日本人の健康とか日本の風景・風土ということを考えて、もう少し米を中心とした農業そのものの在り方、ごはんを食べることを考え直してはどうかということも問われています。日本の命といってもいいお米、そしてごはんを中心とした日本型の食生活の維持は可能なのか。そのためにどういった方法があるのか。次の世代、若い世代にどのように日本型の食生活を伝え、学び合ったらいいのかということを、パネリストの皆さんから、今日は具体的な例を挙げて頂きながら話を進めてまいります。まず、日本の食生活が変わってきているということを、どう受け止められていますか。

村橋:そうですね。落ち着きのない子が増えてきたような気がします。子ども達の落ち着き を取り戻す方法の一つとして、家庭の味を大切にする生活が必要だと思っています。

鈴木:お米を主食に、この国で生産される食材をうまく組み合わせて食べるのが日本型食生活なのですが、そういう食生活が行われなくなってきており、欲しい時に欲しい物を欲しいだけ食べて、食べたい時が食事時ということになっています。

中村 :1960年頃の半分しかお米を食べていないということは、確かに異常なことですが、しかし、今でも必要なカロリーの四分の一を米という一つの食材から取っているということは大変なことだと思います。 実は、何が心配なのかというと、段々減り続けていることなのです。


【健全な食生活とは】
松田:いつでも、どこでも食べられる時代になりましたが、一方で欠食が増加し、栄養面 や健康面で様々な問題があると思いますがいかがですか。

鈴木:確かに食事の量、種類は豊かになりましたが、同じ物ばかり繰り返し選んでいることが一つ大きな問題です。栄養素として糖質と脂質が圧倒的に多くなり、ビタミンやミネラル、食物繊維、あるいはカテキンなどの摂取量 が非常に少なくなります。このため、子ども達にも、貧血とか骨密度の低下、肥満を中心とする糖尿病、高脂血症などの生活習慣病などが増えています。私どもはずっと中学生を中心に欠食の状況を調べていますが、休日の朝などは3割ぐらいが食べていません。このため、脳に大きな影響が出てきます。余り言われていないことですが、脳は大人で体重の2%ぐらいの重さしかないのに、身体全体で使うエネルギーの18%から20%も使う大食漢なんです。ですので、エネルギーや脳を動かすためのビタミン・ミネラルが必要なのです。特に、朝食べないと10時間以上脳にはエネルギーが入りません。学生を対象に、いつも食べてくるグループ、食べてこないグループに分け、簡単な書取や計算の実験をすると、食べてこないグループのミスが非常に多く、心と身体に大きな影響を及ぼしていることがわかります。

村橋:文部科学省の体力テストの集計結果から20年前と比べてみると、今の子ども達の体力が落ちているという報告がありました。これは外で遊ぶことが少なくなったことが原因というふうに記述されていましたが、案外食べることからもきてるのだと思います。

松田:家族関係を含め、子どもを取り巻く環境も随分変わってきていますね。

中村:私は今でも母親が作ってくれたカレーライスを思い出します。小さい頃は戦争直後で食材も不足し、今出回っているカレーライスに比べれば遙かに味は落ちると思います。しかし、なぜ思い出すかというと、おそらくそこには食卓があったからだと思います。母親がなけなしの食材をかき集めて作ってくれたその気持ちが、なんとなくその食卓を囲む家族に伝わったのだと思います。

松田:学校で食べることや料理することを体験し、指導することも必要ではないですか。

中野:食生活の基本は家庭ですが、学校給食の果たす役割も非常に大きいと思っています。学校給食についていろいろな考え方はありますが、正しい食生活の習慣や栄養のこと、それからやっぱり明るい食べ方がいいなど、いろいろなことを学校給食の時間に指導しており、そういう意味で学校給食を通 して子どもを育てるということを、一度見直してみて頂きたいと思います。

松田:食生活の見直しということで、2000年の3月に、当時の文部省、厚生省、農林水産省が共同で「食生活指針」を作りましたが、内容は当たり前のことで、なんで今更っていう気がするのですが。

中村:私も指針を作るときにお手伝いしたのですが、「なんだそんなこと分かってるよ」と多くの方が言います。しかし大抵の方は実際に実行出来ていないのが現実です。そういう意味でいうと、これは当たり前のことだけれども、改めてそれを考え直すの が大事だということです。食生活指針の4番目に「ごはん等の穀類をしっかり」と書いてありますが、どこの国もやっぱりそこで採れ、栽培されるものを中心にして食生活を 営むのが当然のことであって、そういうことを含めて皆さんに知って頂きたいと思います。

松田:食生活指針の最初には、「食事を楽しみましょう」とありますが、最近では、みんなと一緒に食べて嬉しいという気持ちを忘れてしまっているような気がします。ここで、食品産業センターが実施したアンケート結果 を見てみますと、料理をする時のポイントはという質問では、第1位に「手間をかけずに簡単に」となっています。 中原 愛情が一杯こもっていれば、手間をかけずに簡単でもいいですが、料理というのは子どもや夫に作って食べさせてあげることに喜びがあるのに、お金だけあげて「はい、お腹一杯にしてこい」では何も生まれてこないような気がします。

鈴木:私も子どもを育てながら働いてきましたが、手間をかけずに簡単においしく健康的に 食べるということは、ずっと一つの目標でした。そういうことを、料理の研究家もあまり言わないのですね。 例えば、いなり寿司やしめさばやひじきの炊いたものなど、いっぱい作って冷凍しておき、あとはレンジで暖めるだけで手間をかけずにおいしく食べられます。

松田:共働きとか核家族の増加など、生活スタイルや家族形態がいろいろ変わってくると、“手間をかけずに簡単に”ということを簡単に笑い飛ばしてはいけないかも知れません。

【子ども達に何をどう教えるか】
松田:2002年度から小・中学校では総合的な学習の時間が導入され、多くの学校で新しく食農教育ということを取り入れようという動きがありますが、以前から取り組んでいる村橋さんの西成東小学校(愛知県一宮市)ではどうようなきっかけで始まったのですか。

村橋:健康教育というのがスタートで、その健康教育の中で食文化、特に米の文化について子ども達に学ばせていこう、そこから食について考えていこうということでスタートしました。

中野:やっぱり今の子ども達は体験不足なので、みんなでいろいろなことをやりながら、苦労する中で考えていくという子ども達が育つように、2002年4月から小・中学校で総合学習が始まります。

中村:大変結構なことだと思いますが、もう一歩進めて、国全体としてのシステム化を考えるもの大事だと思います。フランスでは、農家が子ども達を組織的に引き受ける教育ファームが行われています。農家の人も大変だから国全体として組織化し、協会が認定した農家に対し、学校と自治体が費用を半分ずつ出し合います。 日本では個々の学校で農家の協力を得てやっているわけですが、これらの事例は今後 広げていく時のヒントになると思います。

村橋:本校でも稲作体験を20年近くやっていますが、地域のボランティアの方が田おこし、しろかき、消毒などを全面 的にバックアップしてくださっており、そういう方がいなければできないと考えています。

中野:体験を重視した学校は、これから農業だけではなく、いろいろ分野で地域の方々に教えてもらうことが多くなってくると思います。ある小学校では、住まいと測量 の先生、大工の先生、かまどとのろしの先生、トウモロコシとスイカの先生、小松菜とサツマイモの先生、田んぼの先生というふうに、地域の方々が小学校の子ども達と一緒になって体験学習をしており、課題も多いですが、可能な範囲でこのようなことを実施する学校が増えていくと思います。

中村:田んぼというのは、そういう意味で非常に象徴的であり、そこにはいろいろな教材があります。算数とかが出来るのも大事ですが、それに負けず劣らず大事な教材があるということの価値観だと思います。

中原:頭がいいだけで生きられるかっていうとそうではありません。やはり人間は生きるということをもっと大切に考えないといけないと思います。だから、まずお母さん方の頭の中を少し変えてもらいたいと思っています。例えば、料理している時に子供が来たら「勉強してなさい」というのではなく、一緒に料理を作るとかして、家庭の中で自然に教育をしていくことも大切だと感じています。

【食農教育を社会全体に広げるために】
松田:南信州アグリ大学院では、大人のための食農教育が行われていますが、我々の世代が学習して食や農のことを知り、併せて食農教育のリーダーを養成していくことが必要な 時代だと言えるかも知れませんね。

中野:私の勤める日本体育大学では、総合学習の進め方について、自分たちで見つけて、それを調べ、そして発表させています。これからの人間を育てるのには、体験が必要だということを考えさせていくわけです。 東京目黒のある小学校では、近くに田んぼがありませんが、5年生はみんな田植えや稲刈り、餅つきをやっているのです。その小学校は、校区内の米屋さんが千葉県市原市に田んぼを持っている人をよく知っているので、その人との縁をきっかけにしてひとつのつながりを作っているわけです。 それぞれの所で可能なところから手を広げていかなければいけないと思っています。

鈴木:都会の真ん中では、作物を作りたくても出来ないといいますが、例えば大きなゴミ袋に土を入れて、サツマイモの苗を植えると、実際に大きなサツマイモが収穫できます。 だから、やろうと思えばいろいろな所で出来ると思います。

中村:スローフードという言葉がありますが、これはファーストフードに対する言葉だけではなくて、地域の食材を大事にして、それを使って調理して、そして関心を持っていこうという、イタリアから始まった運動・考え方です。ですから、食農教育の原点みたいなもので、世界中の人たちがそれぞれの地域や地元で取れる食材などに関心を持ち始めるところから出発することも大事だと思います。 地域ごとに伝統的に続いてきた食材が段々失われるのは、日本の食文化にとって損失 だから、それを次の世代に伝えていくことも、スローフードの考え方だと思います。

松田:このことは、崩れかけている日本型食生活の見直しにつながることですね。

鈴木:日本の風土はお米が育つのに大変適しています。そして、お米に合わせて大豆が入り、これらをペアにしながら日本型食生活を作ってきているわけですから、その中には何百年・何千年もの知恵があるのです。この知恵を捨ててしまうのは、こんなもったいないことはないと思います。 ですから、大人がもう一度考えて、家庭の中などいろいろな所でこのことを伝え、また自分自身が学べるチャンスがあれば、是非やっていただきたいと思います。

中野:子どもに関する問題は、基本的には大人の問題だと思います。大人が自分の生活をどう見直していくのか。利便性とかだけに目が向いていたのでは、おそらく日本の文化はつぶれると思います。日本の文化は稲作文化で、改めて米は日本の文化の中心だということを、食べ物を考えるだけで十分ですから、みんなで見直すべきだと思います。

松田:農業をアグリカルチャーといいますが、まさに文化なんですね。それを忘れてしまうのは、やはり日本の風土、私達の生活をある部分捨てることだと考えても間違いではないと思います。

中村:そういう点では、最近の風潮として、国民全般に農とか食についての関心と理解が薄れてきているような気がします。米でも野菜でも子どもの時からなるべく本物の味を味わってみることが大切で、調理済みの食品だけを食べていたのでは、将来大人になった時に食とか農について理解と関心を持つように育っていくか疑問で、心配です。食と農というのは日本の文化を考える上で一番大事なこと、その中心に米があるのだということを改めて見直す、考え直すということが必要だと思います。 中原料理というのは、ただ食べ物を作るというだけではなく、思いやる心もつくっているのだと感じています。

鈴木:
人間は、生きていくためにどうしても食べなくてはなりません。その食べるための教育というのをこの国ではなおざりにしてきてるように思います。ですから、食べるということを大事にした食農教育、農業について知ること、こういったことは命の教育の原点にあると思いますので、ぜひ押し進めて頂きたいと思います。

松田:ごはんが主食でしたと言いたくありませんが、そうなりつつあります。日本文化にごはんがありました、という言葉を使いたくありません。ごはん、そして水田が日本を世界に誇る長寿国にし、そして健康な日々を私達は送っています。それを次の世代にきちっと伝えていく、我々ができなかったことあるなら、次の世代に私達ができなかったことを学んでもらう、その知恵、その探り方を私達が探していく、という方法が必要です。そして単なる知識だけではなくて、自分で田に入って、自分で畑に入って、自分でごはんを炊いて食べ合う、ということをもう一度我々が始めていく必要があるのかもわかりません。
皆さん今日はどうもありがとうございます。


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