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ごはんを食べよう国民運動推進協議会活動研究発表会
基調講演録(抜粋)
1 日 時 平成11年11月19日(金)13:30〜15:45
2 会 場 ホテルフランクス 地下1階 翠霞
(千葉市美浜区ひび野2−10−2)
3 主 催 ごはんを食べよう国民運動推進協議会
4 協 賛 全国食文化交流プラザ千葉県実行委員会
5 参加者 227名(会員122名、一般105名)
6 基調講演 筑波大学体育科学系教授 鈴木正成
「家庭・地域から広げるごはん食と健康の輪」
−玄米ダンベルニギニギ体操が社会を変える−

 一応基調講演というタイトルになっていますが、私自身も研究活動を発表するつもりでこれからある研究事業を紹介し、一つの例としてご理解、ご活用していただければ有り難いと思います。

目 次
健康づくり法としてのダンベル体操 老化による体の蛋白質の合成力の低下
−エアロビクス・レジスタンス運動で防止−
中年から肥満、成人病が多発する
−基礎代謝の低下−
高齢者に筋肉減弱症と骨減弱症が発生
−虚弱化・寝たきり防止に玄米ニギニギ体操−
基礎代謝の増大
−ダンベル体操で筋肉の増量・活性化−
握力と腕力の強化で基本生活活動の自立
中年から脂肪摂取を控える
−ごはん食で豊かな職歴−
早寝・早起き、朝のラジオダンベル体操、朝ごはん
基礎代謝と筋肉の関係
−筋肉を鍛えて肥満・成人病の防止−
朝食が日本を変える


健康づくり法としてのダンベル体操
 我々は生涯にわたっていろいろな健康目標を抱えます。子供のときには身体づくりや体力づくりが目的であって、筋肉と骨をしっかり作ることが健康づくりの目標になります。若年中年、熟年におきましては、肥満や成人病の予防や改善、熟年が過ぎますと骨粗鬆症を心配する骨の問題、高齢になりますと虚弱化と寝たきりが最大の健康問題になります。特に歳をとってからの寝たきりの発生は、21世紀の超高齢化社会におきまして、日本が一番慎重に一生懸命取り組まないといけない大問題になろうとしています。介護保険の問題が連日新聞紙面、テレビで報道されるのはそのためです。いずれにしても、全ての健康問題に対しまして、生涯に渡ってダンベル体操は対応できるものだと考えています。
ダンベル体操は、私が個人的に17、8年前に筑波で開始したものですが、95年に中国の長春市の吉林体育学院の特別講義で紹介したところ、中国で大発展し、今3万人の長春市民が朝5時半頃から400gの木のダンベルを持って公園に集まり、健康づくりに利用されています。太極拳、気功が伝統的体操ですが、それらに比べてダンベル体操は効果が顕著であるということから信頼を得て発展しています。また、吉林省では120ぐらいの小、中学校で、10時ぐらいにラジオ体操の曲にダンベル体操を振付けまして、楽しいダンベル体操として、子供たちの身体作りと集中力の養成その他に多大な貢献をしています。幼稚園児も97年に全国幼児基本体操促進委員会が結成され、ダンベル体操が基本体操として採用され全国の650前後の幼稚園で90gの木のダンベルを使った5分間のダンベル体操が120万人の幼稚園児によって実践されています。第1回の大会が天安門広場の前の赤の絨毯の上で約千人の子供を集めて演じられ、去年は3千人集まりました。
日本では6年程前から関心が高まり、長野県の高森町では3,200の全世帯に
2kgと3kgの鉄アレイ、10kgの鉄を送るという健康行政に利用されました。既に65歳以上の方が22%を越えており、寝たきりが発生すると一人年間500万円の税金を投入して介護・医療に努めることになります。10kgの鉄は2千円で、1度町全体で700万円を6年前に使っただけで、永遠に高森町にこの鉄アレイは存在して町民の健康づくりに利用されます。
 健康づくりの分野は、人生を豊かにしたいという願いがあって始まるものです。世界中の人々は食べたい物を食べて元気に死ぬことを最も基本的な理想として人生を送っていると思われます。しかし現実は歳をとって病気がちになり、最後寝たきりになるのが普通です。活動寿命と生物寿命が一致しない人生、これが極めて不幸な人生で、本人と家族を大変混乱に陥れます。理想的にはアクティビティが高く、内容が充実していて、ある日惜しい人を無くしたと言われて死ぬ人生を世界中の人が求めており、それが健康づくりの目標といえます。
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中年から肥満、成人病が多発する−基礎代謝の低下−
 ところでこの健康づくりは、中年から多くの人の関心事になります。理由は明快で、中年になると世界中で肥満が発生し、成人病が発生してくるからです。その最も重要な原因は基礎代謝が落ちることにあります。朝寝床で目を覚ましたときの安静下でのエネルギ−代謝を基礎代謝といい、生きていくために最低必要な体温生産の代謝です。それと同時に、身体の元気さも表しており、生涯で最高になるのが中・高校生の年代であります。しかし、42歳の厄年を越える頃から基礎代謝は急低下し、それとともに世界中で肥満と成人病が多発します。理由は単純で、基礎代謝は脂肪の分解力を表している指標であって、肥満と成人病は脂肪の分解が悪くなるという一つの重要な共通の背景を持って発生するからです。人間が脂肪の分解力を落とすと身体の2か所に脂肪が沈着します。脂肪組織に多量に沈着して中年肥満が発生し、少量ですが、動脈に脂肪、コレステロールが沈着し、動脈硬化が中年から急に進みます。太るとインシュリンの働きが不十分となって糖尿病に罹りやすくなり、動脈が硬くなれば血圧が上がり、また心臓病がおきやすくなるというふうに、これらは全部脂肪の分解が悪くなるという生体の変化を背景として発生する訳です。
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基礎代謝の増大−ダンベル体操で筋肉の増量・活性化−
 したがって、この基礎代謝を落とさないように、脂肪の分解力を落とさないように生きることが健康づくりの基本であります。具体策は運動を実践すること、食生活で脂肪のとり方をうまくすること、食と運動の二つの点からこれに対応する。運動がなぜ重要であるかというと、基礎代謝を支えている一番重要な組織が筋肉であり、体内で安静状態で一番多量の熱を作っているのが筋肉であるためです。その筋肉の量と代謝活性は、中・高校生時代に最も充実していますが、世界中で人間は40歳過ぎから蛋白質合成がいかなくなって筋肉が顕著に減量し、それに合わせて筋肉のエネルギー代謝に関係する酵素といわれる何十種類もの蛋白質の合成も悪くなって活性を落とすわけです。したがって、筋肉の増量と活性化に繋がる運動を実践すること、具体的には、増量にはウエイトトレーニングのようなレジスタンス運動が必要であり、活性化にはジョギングのようなエアロビクス運動が必要になります。しかし、これらの運動は、1980年頃からの運動として推奨されながら、それを実践した人々は多分国民の3%程度で終わっており、元々国民性のない運動でした。そこにダンベル体操が紹介されたところ、日本中の人々が、あれなら自分でもできると反応して、この体操が国民健康づくり体操の一つの位置を占めつつあるという現状になりました。
ダンベル体操は確実に筋肉の少々の増量と活性化を実現し、落ちた基礎代謝を少々上げ戻すことに成功して、肥満その他の成人病の改善に確実な効果を発揮しています。基礎代謝が40歳ぐらいから急激に低下し、世界中で40歳ぐらいから人間は健康に気をつけなければいけない事態を招いている。間違いなく基礎代謝を健康づくりの中心的指標として対策をとることが大事だと分かります。
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中年から脂肪摂取を控える−ごはん食で豊かな職歴−
 その問題に対応しまして、食生活はどうあるべきかですが、日本型食生活が一番よく、それは当然のことながら脂肪の摂り方がよい。別な言い方をすると、炭水化物の摂り方がよいということになっています。日本で肥満児が発生したのは、25年ぐらい前の1975年頃で、成人病を食生活で予防・改善しようという運動もこの頃から始まりました。脂肪の摂り方が増え、食事と健康の問題が意識されるようになりました。アメリカでは中年以降皆が肥満し、心臓の動脈に脂質を沈着させ、死因の3分の1が心臓病死という異常事態を迎えています。この高脂肪食生活がアメリカ人にマイナスであることは多くの人によって認識され、脂肪を減らすための運動が20年程前から続けられています。
問題はどこにあるかというと、おばあさん、おじいさんになってもステーキを食べるというところにあります。単純に高脂肪食生活というようなものではなく、アメリカ人では10代の孫から70歳のおじいさん、おばあさんに至るまで、脂肪の摂り方をまったく変えず、生涯高脂肪食生活を続けます。日本人は歳をとると次第にあっさりした菜食が好きになり、誰もが中年からは脂肪の少ない食事、即ち洋食よりも和食、肉料理よりも魚料理、揚げ物や炒め物よりも煮物、焼き物、お刺し身といった脂肪の少ない食事に切り替わるのが当然と思っております。しかし、地球上でそのようなことをしているのは日本人以外ほとんど見られず、日本人特有のものであることがはっきりしております。即ち脂肪の摂り方をアメリカ人と日本人で対比した場合、アメリカ人は赤ちゃんの時に人乳、即ち脂肪の多い食事でスタートして、そのまま生涯高脂肪食で通してしまいます。それに対して日本人は、中高校生ぐらいの頃から魚の良さを分かるようになり、中年になるとそれが極度にはっきりしてきて、脂肪の摂り方を次第に落とすという食べ方をします。これは先程の基礎代謝の動きからいって誠に対照的な食べ方でして、アメリカ人は体の脂肪の分解力が落ちている中年以降も脂肪を食べ続けるので、これが過剰にたまって肥満を招くのであり、動脈への脂肪の沈着を促して心臓病死を起こして当然と考えられます。しかし、日本人は基礎代謝の動き、即ち脂肪の分解力の低下に合わせて脂肪の摂り方を自然に落としている。だから太らず、寿命が世界一長いという、健康で幸せな民族になったと思われます。この食べ方の違いが寿命に間違いなく影響することは、ラットを使った実験を見る限りはっきりとしています。生涯を飽食するアメリカタイプの食べ方は短命であり、日本タイプのように子供の時には自由に食べて、中年から抑えて食べる、脂肪の摂り方を抑えるような食べ方は長命になります。一方生涯細々と食べる食べ方は長生き、後半に飽食すると短命となります。全てに共通しているのは、中年から抑えて食べる場合に長生き、中年以降飽食する場合は短命となっている。日本人の食べ方が合理的であるのは間違いないといえましょう。
同じ人類なのになぜアメリカ人はおじいさんもおばあさんもステーキを食べることになるのか。なぜ日本人は孫は肉料理、おじいさん、おばあ婆さんはお刺し身というように違ったものを選ぶのか。それは子どもの時の“食歴”の違いによることは間違いありません。食歴というのは食生活の歴史であり、栄養体験の歴史といってもよろしいです。アメリカ人は子供の時に脂肪の多い食事ばっかり食べるという食生活をしてきて、中年以降も相変わらず脂肪の多い食事を所望する。即ち高脂肪食、ワンパターンの食歴をもったことが背景となっているものと思われます。それに対して日本の子供たちは、ハンバーガーやステーキという脂肪の多い食事も好みますが、あっさりとしたお刺し身のごはん、お寿司なども好んでおり、夏には冷麦のような澱粉だらけの食事も体験し、運動会の頃には梅干し入りのおむすびなどごはんの固まりを体験します。思想でいえば左翼思想から右翼思想まで全ての思想を満遍なく民主的に教育されるような栄養生理教育を受けて育ちます。その幅広い体験は当然のことながら自分の身体が脂肪を欲しているのかいないのか、子供でも自分の身体の脂肪に対する要求を反映したメニューの選択がきちんと出来るような鋭い栄養センスを培ってきていると思われます。それが中年になって基礎代謝が落ちた時に、アメリカ人はただエネルギーを余り要らなくなったとしか思えず、それに対して日本人はあっさりしたものを好むようになって、揚げ物、炒め物は駄目で煮物、焼き物がよろしいというふうに自然になります。
 その違いを作りだす背景は言うまでもなく、炭水化物源の澱粉食品のごはんを中心にして食べるか、パンを主食にして食べているか、これにあることは間違いありません。パン食になりますとお魚を食べる時、フライ、テンプラ、ムニエルのような油料理しか食べられません。ごはんですと刺し身から煮魚、焼き魚、フライ、テンプラ、ムニエルと栄養のバランスは自由自在です。野菜についてもごはんですと、おひたしのようにあっさりした食べ方からサラダのように油を加えた食べ方まで自由自在ですが、パン食とほうれん草のおひたしというわけにはいかず、ドレッシング、マヨネーズがけにしてしまいがちです。肉をしゃぶしゃぶで食べられるのはごはんですが、大根おろし、ポン酢で牛肉をあっさり食べる食べ方をパン食ではできません。ご飯に噴火口を作って生卵に醤油をかけて毎朝食べるのは日本人ですが、パン食はいつでもスクランブルエッグ、オムレツ、フライドエッグと油料理になりがちであり、肉料理は当然のことのようにバターなどを乗せるのがおいしい食べ方となっています。
以上、ごはん食の良さは十分に国民が認識しており、問題は子供たちにそのような食べ方が実際に演じられているかどうかということです。子供の食生活の最大の欠点は、おかず、おかず、おかずと食べて、最後にごはんにふりかけをかけて食べるという“棒食べ”をしていることにあります。これは、「ごはんなんか後でいいからおかずをしっかり食べなさい」という栄養指導の誤りを反映しているものでして、左手に茶碗を持って、背筋を伸ばして食べるというマナーを教えることを大人達が忘れたことによります。現在家族全員で左ひじをテーブルについてお皿を口に下に置いて、皆でテレビを見ながらごはんを食べている家庭がどのくらい日本中にあるのか。これをやっていれば、おかず、おかず、おかず、最後にふりかけというごはんの食べ方になって、白いごはんの良さを味わうことがなくなります。全ての食べ物が味付けになってしまい、薄味に対する味覚を鈍くしております。白いごはん、味のないごはんを食べては何かのおかず、これは無味の味を常に確認しながら何かの味というふうに、薄味を行ったり来たりする食べ方です。私はこれを“口中調味”の食べ方と呼んでおります。白いごはんを口に含んでおかずで味を付けて口の中で味わう食べ方、これを箸の動きから、ごはん、おかず、ごはん、おかず、ごはん、みそ汁というふうに動くのを、箸が稲妻のように動く“稲妻食べ”とも称されていますが、この基本的なマナーを失ったことにより、子供たちは極めてまずい症状を作り始めています。彼らはごはんを食べていながら、現在の大人のような健康体を確立することができない可能性があります。何でも味付けのものでないと満足しないということになりますと、アメリカ人と同じように、ケチャップ、マヨネーズ、マスタードをかけてのごちゃごちゃした食べ方を所望するようになる心配があります。
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基礎代謝と筋肉の関係−筋肉を鍛えて肥満・成人病の防止−
 ところで、食生活からもう一度運動の方に戻りまして、基礎代謝が中年から落ちることに健康問題の発生の主因があるとお話しましたが、基礎代謝を支えている全組織の中で、筋肉が最大の熱生産をしている場所であることを認識されれば、その理論に納得していただけると思います。筋肉は常に体温生産の中心であり、最大の熱源は血液中の脂肪になっております。その分解量は全身が1日で分解する量の70%と多大に上っております。したがって、筋肉を失う病気に罹りますととんでもないことになることを、筋萎縮症の子供たちがよく示しております。日に日に筋肉を失う彼らは、脂肪の分解力を落としまして、血中に多量の脂肪を流す高中性脂肪血症に必ず陥り、その脂肪は激しく貯蔵されるため、体重の60%以上が脂肪で占められる肥満体に彼らは必ずなり、また血中の脂肪は激しく心臓の動脈に沈着して心臓の動脈硬化を進めますので、彼らは大体中学生か高校生の年齢で、心臓の動脈硬化による心不全で命を失っております。筋肉を失うと脂肪を分解できなくなって、体脂肪を増やし、動脈硬化を進めて心臓病死する、これを十数年の人生を通して我々に教えてくれています。もう一つの体温の源は血糖でして、その分解量も全身が24時間で分解する量の70%は筋肉で処分されると推定されます。その筋肉を、おじいさん、おばあさんになると量を減らし活性を落とすため、50歳以上の日本人の5人に一人が糖尿病、高血糖と診断されて、それらの人達が1千300万人前後もいて、医療費の4分の1を無駄遣いしていると指摘されています。
筋肉は、非常に重要な役割を担っております。したがって、その量と活性を維持するため1日に15分のダンベル体操で、量と活性維持のための努力は国民としての義務としてやってもいいものと私は思っております。この問題をまとめてみますと、中年から始まる肥満、糖尿病、動脈硬化、高血圧、心臓病は筋肉の減量とエネルギーを分解する力の減退、これに最大の原因があると認識してもよろしいです。筋肉が減弱化しますと基礎代謝が落ちて、中高校生時代に3000CCだった自動車が40歳になりますと2000CCになったような現象が起きます。安静状態でのエネルギー消費、即ち24時間エンジンを付けっぱなして駐車していたときのガソリン消費量が小さくなります。エンジンの小さい車は大きい車と並んで、同じスピードで同じ距離走行してもガソリン消費量は少なくなります。お嬢さんとお母さんが並んで歩くと、お嬢さんは体温生産を活発にしながら歩くので、エネルギーを消耗しますが、同じスピードでお母さんが歩いても、お母さんは体温生産がさほど盛んではないので、同じ努力をしても余りエネルギーを使わないで終わってしまいます。だから中年から食生活を変えなければエネルギー過剰になって体脂肪が増えて肥満になるのです。
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老化による体の蛋白質の合成力の低下
−エアロビクス・レジスタンス運動で防止−
 ところで、自動車はガソリンしか分解しませんが、人間はブドウ糖と脂肪の2つをエネルギー源にしております。どちらも基礎代謝の低下に伴って分解されにくくなりますが、ぶどう糖の分解が悪くなっても命に余り関係しません。理由は単純で、ぶどう糖はエネルギーに分解されるほか、グリコーゲンとして筋肉や肝臓に貯蔵してもらうことができ、アミノ酸に変わって蛋白質として貯蔵してもらうこともでき、脂肪に変わって体脂肪として貯蔵してもらうこともでき、それらが無理なら小便に糖尿として捨ててもらうこともできるからです。しかし、脂肪が分解されませんと体内に沈着せざるを得ません。脂肪は他の物質に転換しないエネルギー源であり、脂肪尿という排泄系も与えられていません。したがって、分解されない脂肪は多量に脂肪組織に沈着して体脂肪となって肥満を招き、少量ですが中年から動脈への沈着を始めて動脈硬化を進め、その先に糖尿病、高血圧、心臓病を起こすということになります。
したがって、筋肉を減弱化させてはいけないということになりますが、なぜ世界中で人類は、40歳頃から顔面、胸、腹、尻を垂らすのかというのが問題です。それは、筋肉が蛋白でできているということをよく認識すれば、何のことはない。人間は老化に伴って蛋白質を合成する力を失うということに原因があると分かります。これらの健康問題は、決して生活習慣病ではなく、成人病であるということがお分かりになりますね。生活習慣が悪ければ助長されるのは分かりますが、原因はそんなところにありません。世界中で人間は中年以降蛋白の合成力を落とすということに、全て健康問題を発生する原因を持っております。したがって、清の始皇帝以来言われてきた不老長寿の薬を作れという基本的な目標は、蛋白質の合成力を中学生・高校生並にいつまでも高く維持する薬を作れということと同じことだったと言えます。そのような薬はステロイドホルモン、それから成長ホルモンなど、スポーツ選手がドーピングで使うホルモンがありますが、それらを投与しますと身体の調整力がおかしくなって、まずいことが起こるので、それはうまくいかない。唯一自然な方法でそれを実現できるのが、レジスタンス運動という筋肉を増量できる運動です。しかし、ウエイトトレーニングのように何十キロのバーベルでやると、出来上がる筋肉は白筋になってしまう。白筋は酵素貯蔵能の低い筋肉なので脂肪を燃やす力が弱いのです。それに対して、酸素を使って脂肪を燃やす能力を持っている筋肉は赤色をしています。筋肉を単純に増やしても健康になりません。バーベルを使って筋肉を増やす相撲取りや柔道家は70歳前に死ぬことが多いという短命に終わるという事実があります。一方、赤筋を増やせる運動はエアロビクス運動で、マラソン、ジョキング、水泳などです。しかしこの運動は蛋白質を作る力が弱い。走れば走るほど体成分は消耗して分解されてしまう。その中間にあるのがダンベル体操で、筋肉を少々増量しながら白筋を赤筋に変える力を持っているので、脂肪の分解力の高い筋肉を作ってくれて健康に繋がっております。
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高齢者に筋肉減弱症と骨減弱症が発生
−虚弱化・寝たきり防止に玄米ニギニギ体操−
 あらためて我々は、科学的に考えた場合、老化に伴って蛋白質の合成力を失って中年から筋肉の減弱を起こして、基礎代謝を落とし、ぶどう糖と脂肪の分解力を落として肥満、動脈硬化を招き、成人病を起こしてしまうことを認識することが大切です。その問題は歳を取っていきますと二つの大問題につながっております。一つは骨を減らして骨減弱症(オステオペニア)を招き、さらにそれが骨粗鬆症へと進み、骨折を起こして寝たきりを招くこと。もう一つは筋肉減弱症(サハロペニア)を起こして、体を虚弱化させ、そのまま寝たきりになるか、虚弱になったことが原因で転倒して骨折を起こして寝たきりにつながるという大問題です。今21世紀に向けて、日本やアメリカなど先進諸国が真剣にヘルスサイエンスの最大の課題と言っているのが、これらをいかに防止するかということです。年寄りの虚弱化と寝たきり防止です。これらは蛋白質の合成力低下を背景にして発生して起こる問題です。
この問題は生涯にわたる健康づくりの最終段階の問題として考えないといけないことは分かります。それ全体に対してダンベルというのは、誠に有効に対応できるということが分かっています。たくさんのデータがありますけど、例えばこの51歳で病気になったお一人のデータをご覧いただくことで全て納得していただけると思います。この人は身長165cm、体重83kgで体脂肪率が27%と肥満体となり、胸囲1m5cm、腹囲1m3cmとほとんど寸胴の丸太の様な身体になりました。血圧は上が170〜180、下が110前後と高血圧レベルに上昇し、血中中性脂肪が200と高中性脂肪血症になりました。そして、糖負荷試験ではなかなか血糖が下りてこず、すぐ尿に糖が出てくるという糖尿病になってしまいました。そして、左心房の肥大と心筋障害の疑いのある心臓病の6つぐらいの大問題を抱えて、強制入院されました。そして脳出血を起こして倒れたという訳です。半年程病院で入院している時に奥様が友人のアドバイスでダンベル体操のビデオと3kgのダンベルを持ってきました。友人の話では、このままでは症状は改善されても身も蓋もなくなって、体力失って社会復帰できなくなってしまうから、ダンベル体操をやるのがよいとアドバイスしてくれたのだそうです。そこでさっそくダンベル体操を始めたところ、体重は71〜72kg、体脂肪率は24%ぐらい、胸囲97cm、腹囲85cm、血圧が130と80ぐらい、中性脂肪が75程度負荷試験でも糖は全然出てこず、血糖が直ぐに低下し、心臓の異常は一切無くなったという訳です。このように、何でもかんでもまとめて改善できるという実績を残しているのが、ダンベル体操です。腰痛が直ったの、骨が改善されたの諸々あります。女の人は便秘、貧血、骨粗鬆症とたくさん抱えておりますが、それのほとんどを改善できることがいろいろなところで確認されています。
ダンベル体操で骨が良くなるのは当然のことで、骨は鉄筋を蛋白質のコラーゲンで作られているものであり、カルシウムのようなセメント材が主役になるのではありません。コラーゲンというのは、3本の紐がロープ状に絡まった形をしており、この鉄筋ができていればセメントのカルシウムがその鉄筋に塗り込められて骨作りが進みます。子供は寝ている間に成長ホルモンがよく分泌され、蛋白合成が旺盛になるので、牛乳嫌いでも骨をしっかり作ることができます。これはカルシウムがリサイクルされるためです。鉄筋ができていれば、一度入ったカルシウムが3サイクル、4サイクルと何回でも骨作りに参加できるからです。貧血もまったく同じで、その本質は鉄の問題ではありません。ヘモグロビン、ミオグロビン、フェリチン、トランスフェリンと鉄は全て蛋白に結合して酸素の運搬、酸素の貯蔵、鉄の貯蔵、鉄の輸送という場面で働いています。だから、蛋白合成を促進すれば鉄もリサイクル、3サイクルされて何回でも働ける。しかし、それを多くの人は蛋白合成の問題と理解せず、本末転倒の努力をしているために改善をみない。
  具体的に骨について、500gから2kgのダンベルを使う体操が有効であることははっきりしており、Jリーグのサンフレッチェ広島のチームドクターの寛田整外科医がそれを確認しております。骨粗鬆症の患者さん達に世間で言われているとおりにビタミンD、カルシウムを投与しながら日光浴を4か月間させたところ、皆が骨を減らしていることを確認しました。しかし、もう一つのグループには毎日20分間ダンベル体操をしてもらったところ、それなりの改善をみて、レジスタンス運動が有効であることを確認しています。
ダンベル体操のダイエット作用もたくさんの人によって実証されています。ある中年のおばさんは2kgのダンベルを買ってきて、夕飯を食べて後1時間経ってから毎日15分のダンベル体操を7か月やったところ、体重は7kg引き締まり、ウエストが10cm引き締まりました。もっと激しいダイエットをしたおばさんもおられます。この方は3年前の68歳の時に72kgになったとたん膝が痛くなって、杖無しに歩けなくなりました。早速NHKのダンベル体操のビデオと2kgのダンベル買ってきて朝にダンベル体操1回、夕飯を食べてお風呂に入る前にもう1回と1日2回のダンベル体操を始めました。食生活については、糖尿病のカロリーブックというのを買ってきて、夕飯を7時に食べ、その後は口に物を入れない、夕飯では油もの料理を一切食べないなど、2〜3の重要なことだけを決めて実践したところ、半年で10kg引き締まりました。
以上のことでお分かりのように、ダンベル体操というのは、蛋白合成を促進することを以て筋肉をいい状態にし、基礎代謝を上げて2000CCの自動車を2200CCぐらいの自動車にすることを4か月目ぐらいまでの間に実現します。24時間、エネルギー消費、即ち体温生産のいい身体になって、肥満が改善されていきます。血中の脂肪の処理能力が改善し、血糖の処理能力が改善して、糖尿病が2〜3か月、高脂血症も3か月前後で改善することを多くの方が経験されています。便秘、冷え性、骨粗鬆症、貧血、肩凝り、こういったような健康問題の多くがダンベルで改善されると言われています。そして、年寄りに発生する不眠症もダンベルで改善します。
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握力と腕力の強化で基本生活活動の自立
 人間が虚弱になると入浴その他基本生活活動ができなくなります。特に腕力、握力を失ったらだめです。パラリンピックなどで認識されておられるとおり、車椅子の人達が全てのスポーツをやれるのは握力と腕力を強化しているためです。脚腰がだめになっても、上体がしっかりしていると生活を自立できます。握力、腕力を失うと、とんでもないことになることが我々の老人保健施設での調査で分かっております。自立生活ができなくなる握力の限界を調査していますが、大体15kg以下、13kg以下となると危ないということが段々分かってきました。世の中は年をとると足腰が弱るから歩け歩けと、残り少ない人生を徘徊の道に誘っておりますが、それは本質的な問題に対応していないことはお分かりと思います。
そこで今日の主題である玄米ダンベルニギニギ体操、これが最終的にお年寄りに安全な握力、腕力強化の道具として生活自立力の強化に役立ち、寝たきりと虚弱化を防止するのに貢献できるというのが私の提案です。埼玉県鶴ケ島市老人保健センターの鶴ケ島ケアホームでは、一日2回、昼飯と夕飯前に5分間の玄米ダンベルニギニギ体操を実践してもらっています。立っている人もいれば車椅子の人もいますが、これらの人達が生活活動度をアップしていくかどうか調べております。勿論、ボケ防止にこれが役立つかどうかの調査もやっております。握力を強化してニギニギしますと血液が脳に上がっていきます。指先の運動は全然脳に血液を上げる力を持っていません。即ち、栄養分の供給と酸素の供給に握力が絶対に必要でして、指先の運動はほとんどそのような効果をもっていません。また、握力、腕力を強化すると、寝たっきりからの脱出も実現できることが中国・長春市の92歳のおばあさんによって確認されております。5年間寝たっきりだったお婆さんは木のダンベル400gを寝ながらニギニギして動かしている内に座れるようになり、そして遂に立ち上がって、今ではほとんど自分の生活を自立しております。
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早寝・早起き、朝のラジオダンベル体操、朝ごはん
 この問題は、子供からお年寄りまで生涯にわたる健康づくりの中で考えなければいけないものです。私の考えでは、ダンベル体操はあらゆる年代のいろいろな状態の人に適応できる方法だと思っておりますけど、問題は日常化にあります。この日常化をどうやって実現するのかが問題で、私の提案は、朝にラジオダンベル体操を放送し、朝飯を食べる生活リズムを社会的に実現することです。つまり夜遅く寝て、遅く起きて、朝飯を抜くような1日2食制でぐうたら生きて、糖尿病や成人病になる生活と縁を切ることが、唯一の方法と思って提案しております。現在長野県の高森町で実験中でして、小学生に木のダンベルを預けまして、北小学校と南小学校の2校で700人ぐらいの子供たちにダンベル体操を日常化してもらいそれが家庭にどう影響するか。そして子供たちに朝のダンベル体操会のボランティア指導をやってもらって、地域のおじさん、おばさんを指導し、おじさん、おばさんから感謝されるような地域づくりをすることです。このような生活を実現することが、多分その地域の人達全体を真面目な人生、日本を意識して生きる人生に切り換えて、社会づくりに力を発揮すると思っております。高森町全体の朝のダンベル体操会を一度もちまして、後は各地域でやりましょうと既に実行に入りました。
もうひとつは、老人保健センターで玄米ダンベルニギニギ体操を実践してもらって、握力を強化して、生活の自立力の向上とぼけ防止に役立つかどうかを検討してもらっています。あと一つがつくば市の2つの幼稚園、どちらも園児130人程いる幼稚園で、玄米ダンベルニギニギ体操を昼食前に実践してもらっています。大穂幼稚園は家に帰るとおじいさん、おばあさんがいる三世代同居が半分ぐらい、並木幼稚園ではお父さん、お母さんしかいない。
おじいさん、おばあさんのいる家庭では、おじいさん、おばあさん寝たきり防止のためにやりましょうと、玄米ダンベルニギニギ体操が定着する可能性がありますが、並木幼稚園の園児の家では、お父さんが「何だそんなつまらないもの」と言ってそれで終わりになるに違いないと思われます。家庭構造が健康づくりの日常化に非常に重要な意味を持つということを明らかにしようと思っております。お母さん方の理解も深めてもらって、子供の握力、腕力強化、基本的体力増強に役立って、間違いなく元気な子供が出来あがるんですよ。それがおじいさん、おばあさんの虚弱化防止にもつながるということで、期待されております。
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朝食が日本を変える
 以上私は、子供たちから中心になって健康づくりの街づくりをすること、ボランティアで地域の健康づくりのリーダーになること、それが家庭に影響を及ぼすに違いないと考えています。養老院や身障者の学校で子供たちがボランティア指導すること、それを教育委員会がサポートし、先生方がサポートし、地域がサポートし、保健センターがサポートし、役場がきちんと対応することが必要だと思っております。
それで、この課題をなぜ朝を中心として進めるのかということですが、実は大学生と新人サラリーマンの70%近くが朝飯を抜いており、高校生、中学生は20%前後と、最も基礎代謝の高い年代の人達が飯を1食抜いております。これが米消費減退の最大の原因です。食べ物の内容が変わったことは勿論ありますが、米消費減退の一番の問題は1食抜くことにあります。ある体育大学の学生の食生活調査によっても、大学スポーツ選手は30%しか朝食をとっていません。スポーツ選手の70%が1日2食制でやっているというのが実態です。
なぜそうなるのか。12時までに寝る学生は20%しかいない、80%の学生は12時以降に寝ているためです。早寝早起きの習慣を取り戻すことしか米の消費拡大を実現する方法はありません。
そこで「早寝・早起き、朝のダンベル体操、朝ごはん」という生活リズムを作るために努力することが、こういうシンポジウムを開くよりも何百倍も意味があるというのが私の提案です。そのために、まず考えるべきは、21世紀は超高齢化社会で、食欲の無い人が国民の30%を占める時代だということです。ごはんもパンも魚も肉も牛乳・乳製品も、野菜、くだもの全部食べられなくなる時代が来るのです。したがって、米生産者、米販売業界、食産業、流通業は厳冬の時代を迎えるということを十分認識すべきです。それを解決する、即ち食欲をあげること、活動力を増大することですが、それには基礎代謝の高い身体を作ること以外方法はありません。具体策として食糧庁、全国農業協同組合中央会、全国米穀協会、食品業界、食品流通業界に頑張っていただきたい。朝のラジオダンベル体操の放送を実現していただきたい。10分間の全国放送をサポートしていただきたい。それが筋肉の増量、活性化に繋がって、この問題を解決する唯一の誰にでも出来る方法であるからです。我々は御託を並べるのはもうやめて、行動・実践に移るべきです。具体的に本気で米の消費を拡大しないといけないと思う人は、個人であれ、団体であれ、まず玄米ニギニギを作りましょう。それを全国の保育園、幼稚園、身体障害身障者施設、老人保健施設に寄贈しましょう。何月何日を期して全国一斉にやるということです。全国一斉の行動、アクションをとれば日本は変わります。マスコミだって黙っていないはずです。その通りだと応援してくれるに違い有りません。これの大事なところは、農協や米穀協会、食糧庁だけでやるのではない。民間の食品産業も同じ運命をたどっておりますから一緒にやることです。全中はイトーヨーカ堂とタイアップ事業をやっておられるようですが、西友やダイエーも仲間に入れて一緒にやる。官民全てが協調して協力実行することが、この大課題を解決する唯一の方策と私は思っています。朝のダンベル体操を支持されれば、玄米ダンベルニギニギ体操が間違いなく社会を変えてくれるに違いないと思っています。
今日のお話は「玄米ダンベルニギニギ体操は日本を変える」はずだというものでしたが、全国農業協同組合中央会の女性部は、家の光(平成11年)8月号で玄米ダンベルニギニギ体操を特集し、アクションを少しずつ始めております。そのようなマンパワーの助けを得て、日本を変えるためのダンベル体操にしたいと個人的には努力しておりますので、皆さんの応援をいただければ大変有り難いと思っております。以上で私の研究発表を終わりにいたします。
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